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ごはんよければすべてよし

文体というものも遺伝するのでしょうか?

 

宮脇檀(みやわき まゆみ)さんという個人住宅をメインに手掛けた建築家がいました。

コンクリートと木造架構の混構造でつくった住宅の連作

「ボックスシリーズ」が有名です。

残念ながら1998年に咽頭癌のため62歳の若さで亡くなっています。

(あれから20年も経つとは…。)

 

宮脇さんに関する書籍は、ディテール本から住宅論にいたるまで多く残されています。

中でも彼のウィットに富み、にこやかで、ときに辛口な文体で紡がれたエッセイは、

いつ読み返してもこころを持っていかれる魅力にあふれています。

 

今回紹介するのは、彼の娘さんでエッセイストの宮脇彩(さい)さんの本

『ごはんよければすべてよし』(2010年、講談社)です。

 

 

宮脇彩さんも父親ゆずりの、明るくて軽快なリズムをもった文章を書きます。

『ごはんよければすべてよし』はタイトルそのまま食にまつわるエッセイ。

ちなみにこのタイトルは、宮脇檀さんの口癖「カッコよければすべてよし」

から取っているそうです。檀さんらしいセリフです。

 

その父親が設計した2畳の小さいキッチンで、

主婦としてごはん作りを楽しむ日常を綴っています。

くいしんぼうの人が読んだら、美味しいものを作ったり、

どこかに食べに行ったりしたくなる本です。

 

(K)

悪役・コルビュジエ

この映画を予備知識無しで鑑賞して、海パン姿で他人(ひと)の住宅の壁に

頼まれてもいない絵を勝手に描いているそのおっさんが、

20世紀を代表する近代建築最大の巨匠だと分かる人はいるのでしょうか。

 

その映画とは、いま那覇の桜坂劇場で公開中の、

メアリー・マクガキアン脚本・監督による

ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』(2015年 英・ベルギー)です。

 

 

平和通りのアーケードから桜坂を上りきったところにある桜坂劇場は、

いつも何かしらユニークなミニシアター系映画作品の上映や

ライブイベントを開催していて、沖縄の文化の発信拠点として有名なスポットです。

 

 

このレビューを通して、建築専門でない方にもオススメの映画なのでぜひ見てください、

…と素直に言えないのが心苦しいところ。けっこう観客を選ぶ作品だと感じました。

 

ただ、見どころはいっぱいあります。

その一つは、この映画で重要な舞台となるアイリーン・グレイが設計した

コートダジュールの別荘「E.1027」が実際のロケに使われていることです。

彼女のデザインした家具と一体となったモダンな空間を

スクリーンを通して体感することができます。

 

コルビュジエは変わった人物として描かれています。

やっていることは崇高な(アートな)行為なのですが、基本的に気になる女の子に

ちょっかいを出す中学生と変わらない巨匠の姿が見られます。

 

この映画を観たことで、Casa BRUTUSや枻出版のムックなどを通して

記号として認知していた「アイリーン・グレイ」という名前が、

実体をともなって立ち現れるようになったのは、いちばんの収穫かもしれません。

 

(K)

子育てと建築

先日、本屋さんで前々から気になっていた書籍を見つけることができました。

その名も「子育てをしながら建築を仕事にする」。。

 

 

まだパラパラとめくり読みしただけですが、今の自分にも活かせる内容がいっぱいありそうでした。

また読み終わったら再度この場で紹介できればとおもいます!

(Y)

本棚に泊まる

去年12月、東京に行ったときユニークな場所に泊まりました。

BOOK AND BED TOKYO 浅草店」です。

 

 

泊まれる本屋をコンセプトにしたカプセルホテルです。

このエントリを書く際に調べて分かったのですが、

内装デザインは建築家の谷尻誠さんが率いるSUPPOSE DESIGN OFFICEでした。

 

本を読みながら寝落ちしてしまうそんな幸せな「寝る瞬間」をカタチにした

何度でも泊まりたくなる場所でした。

 

(K)

聴き逃していた名曲

現在NHKで放送されているアメリカのドラマ『THIS IS US 36歳、これから』のサントラを紹介します。

 

 

ドラマの中で進行する二つの時間軸(1980年代と2015年)同様、新旧の隠れた名曲が揃っています。

有名どころではスティービー・ワンダーやポール・サイモンなど。

若い世代ではスフィアン・スティーヴンスとゴールドスポットを知ることができたのは大きな収穫でした。

(K)

新年1冊目

あけましておめでとうございます。

今年も建築に関わる本の紹介を主にブログ当番をこなしていきたいと思います。

1冊目はこの年末年始に読み返した、中原洋 著『体験的高齢者住宅建築作法』です。

 

 

家づくりの顛末をつづった書籍は数ありますが、この本ほど具体的で生々しい内容のものはなかなかないかもしれません。

施主の中原さんはいわばプロの施主といっても過言ではないと感じました。

建築家・小川広次さんとの悪戦苦闘の家づくりを時系列に丁寧に綴っています。

読み物としてとても面白い内容でした。

(K)

音のいい部屋。

建築やインテリア好きにはおなじみの雑誌「Casa BRUTUS」。

学生の頃、そして実務をはじめた頃まではほぼ毎号購読していた記憶があります。

しかし仕事の経験を積んでいくにつれてそういうライフスタイル系雑誌に当てられていたお金は「絶対通る確認申請」とか「確実に伝わる実施図面の描き方」的な特集が多い「建築知識」などの専門誌に投じられるようになり、Casa BRUTUSも書店でパラパラ立ち読みする程度になってしまいました、…というのは設計事務所スタッフあるあるの一つではないでしょうか。

そんな反省を込めつつ今年購入2冊目になるCasa BRUTUSの特集号「音のいい部屋。A ROOM WITH SOUND」(マガジンハウスムック 2017年12月発行)を取り上げます(ちなみに1冊目は3月に発行された特集号「世界のベストミュージアム」)。

 

Casa BRUTUS特別編集 音のいい部屋

 

これはCasa BRUTUSで不定期に連載されている、ライターの野村訓市さんによる「a Room with Sound」を再編集した増補改訂版とのことです。前半のメイン部分は東京、NY、ロンドン、パリ…を拠点に活動する著名なミュージシャンやDJ、デザイナー、写真家など、音楽をこよなく愛する人たちの部屋にお邪魔してインタビューを行った内容をまとめた記事からなります。後半はいい音を聴かせてくれるジャズバーやカフェ、そしてユニークな世界のレコード店の紹介で構成され、これも内容が豊富で興味をそそられます。

 

お目当てはやはり巻頭で6ページも割かれている『村上春樹さんの「音のいい部屋」を訪ねました。』という記事。あまり取材を受けないという印象がある作家・村上春樹さんのインタビュー記事を、彼の書斎風景やサウンドシステム、所有するレコードなどのカットを見ながら読めるというのはなかなか貴重な機会ではないかと思います。

 

ページを繰っているうちに気づくのですが、実はこの特集号のテーマは「部屋」というより「レコード」です。モノラル盤がどうとか、買い替えてオリジナル盤に近づけるとか、○○製の真空管アンプが…などなどディープなことば頻繁に出てきます。

タイトルも「A ROOM WITH SOUND OF RECORDS」か「A ROOM SURROUNDED BY RECORDS(レコードに囲まれた空間)」のほうが正確かもしれません。よーく見ると表紙のタイトル「Casa BRUTUS…」の部分もレコード盤の真ん中のレーベルと呼ばれるラベル紙を模した形になっています(!)。

 

村上さんの話も最初に聴いたレコードのことから始まり、日常生活の中ににどれだけレコード(の音)に触れるシーンが溶け込んでいるかが語られています。まさにただのレコードマニアとしての村上春樹を浮き彫りにしたユニークな内容となっています。

面白かったのがCDとレコードの違いを語ったくだりです。

「最初CDで聴いていいなと思っても、最終的にはアナログに落ち着く。CDだと音が鳴っている感じですけど、レコードは音楽が鳴っていると感じる。」

 

村上さんだけでなく他のインタビュイーたちの記事を含め、音楽に囲まれた素敵な空間とそこに佇むひと、そしてアクセントとなる背景のアートや植栽など、目でも十分に楽しめるムックに仕上がっています。

 

最後にこの特集の仕掛け人でライターの野村訓市さんが、ラジオで村上さんについて語っていた内容をそのまま記しておきたいと思います。

 

「音楽というのはとてもユニバーサル。(中略)自分の文章の先生は聴き込んだ音楽だったと村上さんは話していたんですが、音楽が作品の先生だからこそ、世界中に読者を持つことができる人なのかなぁと帰りがけに思いました。世界を目指す人、それが文学でも彫刻でもアートでも何でもいいんですけども、音楽を村上さんくらい聴き込んでみるっていうのもひとつ、何かのきっかけになるのではと、そう思いました。」

 

(K)

ベッドサイドにて。。。

寒くなってきたので

家から出るのが少し億劫になりつつあります。

そんな日々は本を読んだり雑誌を見たりするのが楽しみの一つ。

難しい本はすぐに寝てしまう私。。。

興味のあるインテリアの本なら

目が冴えるので不思議です。

たまたま本屋へ立ち寄ったら

雑誌の新刊が出ていたので

またまた楽しみが増えました!

 

 

ところで、皆さんはどこで読書しますか?

私はベッドに入ってあったか〜くして

リラックスしながらの読書が大好きでして

ベッドサイドはライトとテーブルは必須です!

なので、インテリアの提案でも出ちゃいます ↓

 

 

もうすぐ完成の物件ですが

こうしてベッドの小物が並ぶと癒されます(勝手に。。。)

クッションやブランケットまであると

至れり尽くせりコースであります。

 

インテリアをイメージする時

その空間でどう過ごすかをイメージすると

選ぶポイントや方向性がスーッと見えてくる気がします。

この冬のインテリア、心地よく過ごす!を条件に

並べ替えたり選び直しても楽しそうです。。。

 

(S)

集落の教え

去る11月8日、建築家・原広司さんの講演会を聴きに行きました。

その時、原さんの著作にサインをいただいたのを機に十数年ぶりに読み返した名著『集落の教え100』を紹介します。

 

集落の教え100

 

この本は1970年代に原研究室が40ヵ国以上の国の集落の調査を通して得られた気づきを100の項目にまとめたものです。

100の項目はそれぞれの見出しとその説明、それに関連する集落の写真で構成されています。

原さんはもし建築家になっていなければ有名なコピーライターになっていたのではないかと思うくらい言葉のチョイスが巧です。

彼の自邸を説明したコンセプトで「住居に都市を埋蔵する」というフレーズは有名です(建築士の試験にも出るくらい)。

 

この本からいくつか抜粋したいと思います。

「あらゆる部分を計画せよ。([1]より)」

「集落は物語である。集落の虚構性が、現実の生活を支える。([21]より)」

「空気を設計せよ。([36]より)」

「さまざまな境界に意を払え。境界は、秩序の原因である。([64]より)」

「空中を歩け。([83]より)」

「壁は定義である。(中略) 壁は、争いの原因であり、争いから逃れる手段でもある。([87]より)」

「屋根は、すべての混乱を治める。([89]より)」

 

原さんの講演会同様、正直専門家以外の人には若干とっつきにくい内容かもしれません。

でも、すごい本です。

(K)

 

自信のない部屋へようこそ

ライター雨宮まみさんの『自信のない部屋へようこそ』を読みました。

 

 

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今はやりのミニマリストに言及しつつも、

自分の本当に気に入ったモノに囲まれて過ごす豊かな日常生活の大切さを綴っています。

共感するところの多い内容でした。

(K)

 

都市のサウンドトラック

片道40分~50分かかる車通勤中によく新譜チェックをします。

今回紹介するこのアルバムほど移動空間に合わない音楽も珍しいと思いました。

教授こと坂本龍一さんの今年3月にリリースされた8年ぶりの新作アルバム『async』です。

 

async

 

前評判を聞いてどれだけ難解な現代音楽に仕上がっているのだろうと少し不安を感じながら聴き始めたこのアルバムですが、実験的な方法論を用いながらもちゃんと教授の音楽になっているなあという印象を受けました。

都市のサウンドスケープを坂本龍一というフィルターを通してそのサウンドトラックに昇華した感じといいますか…。

ミニマムな空間でずっと聴きていたい音楽です。

(K)

世界のジャケ買い

前回に引き続き音楽のお話。

今回紹介するのは、台湾は台北市を拠点とする音楽レーベルDark Paradise Records(現地表記は「派樂黛唱片」)から2015年にリリースされたコンピレーションアルバム『哲人之石 (Philosopher’s Stone)』です。

Dark Paradise Recordsは主に台湾出身の打ち込み系インディーズ音楽を扱っているレーベルのようです。(打ち込み系とは、建築用語っぽいですがそうではなく、コンピュータ上で作られたエレクトロニックサウンドを主にした音楽のことです。)

 

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このアルバムを知るきっかけとなったのは、以前のエントリでも紹介したことのあるデザイナー佐藤オオキさんがナビゲーターを務めていたJ-WAVEの、デザインを音で楽しむラジオ番組『CRERADIO (クリレディオ)』でした。(ちなみに現在、この番組は構成と放送時間が変更されて『nendo 佐藤オオキのLAUGH SKETCH』という番組に引き継がれています。)その番組の中に、グローバルに仕事をしている佐藤オオキさんがジャケットのデザインが良いという価値基準だけて選定してきた世界各地のCDを、内容を確認せずにスタジオでかけてしまうという「世界のジャケ買い」というコーナーがありました。

いつもおしゃれな音楽が流れているというイメージが強いJ-WAVEで、かなり異色な音源が紹介されていたという印象が残っています。

 

その中でオンエアされたのが、画家フランシス・ベーコン風の暗いトーンとシュールさが印象的なジャケットの『哲人之石』の1曲目、Fish In The Skyの『Beautiful』という曲でした。澄んだエレクトロニックサウンドに乗るキレイな女性ボーカルは、ほとんど流れない中国語歌詞ながらもJ-WAVEの雰囲気にぴったで一気に引き込まれたのを覚えています。

 

とりあえずこの曲目当てで手に入れたこのコンピレーションアルバムですが、内容はボーカル無しの曲が半分弱で、残りは作り込まれた打ち込み系サウンド女性ボーカルという楽曲で構成されています。

荒削りな楽曲もありますが、全体的に良くできていて台湾のインディーズアーティストのレベルの高さに驚きました。

 

台湾はいつかは行ってみたい国(あえて国と言ってみる)の一つです。

訪れた際には建築めぐりの合間にレコード屋さんやライブにも足を運ばなければいけないなと思った次第です。

(K)

ホットな残暑にアイスランド

もう10月だというのに沖縄は連日真夏日(最高気温が30℃以上の日)が続いています。

この残暑きびしい折、気分だけでも涼しくしてくれるアイスランド発の音楽を紹介します。

 

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写真のいちばん右は往年のフレディー・マーキュリー…ではなく、

アイスランドが誇る天才シンガーソングライター、アウスゲイル(Ásgeir)の

セカンドアルバム『Afterglow』です。彼はまだ弱冠25歳。

美しいメロディーに透き通るようなハイトーンヴォーカルに癒されます。

 

左側の残り3枚はアイスランドの文化を日本に紹介する事業を行っている

アリヨス・エンタテイメントの代表、小倉悠加さんが監修・選曲をした

主にアイスランドの若手アーティストの楽曲を集めたコンピレーションアルバムです。

左から『Iceland White Night』(2013年)、『Pitch Black Morning』(2014年)、

『Iceland Double Rainbow』(2016年) です。

本国で販売しても全然通用するのではないかと思える多様性を有していて

どの盤も聴きごたえがあります。

ちょっと湿気を帯びたUKオルタナティヴロックなどが好きな人にはおすすめ。

ちなみに1枚目の『White Night』ではアウスゲイルの名曲『King And Cross』の

アイスランド語バージョンを聴くことができます。

 

リアルまたはオンラインの音楽コンテンツ売場で洋楽というジャンルを眺めたとき、

ほとんど英語圏のものに支配されている状況の中で、

あまりメジャーではない国の音楽文化の橋渡しをしてくれる人がいてくれることは

本当にありがたいことだなと思いながらヘビロテしております。

(K)

中村家住宅のひみつ

前回アニーさんがエントリしているように

先日、スタッフ連れ立って中村家住宅を訪れました。

 

その時ゲットした本を紹介します。

2013年に関西大学環境都市工学部建築学科

都市設計研究室×建築環境工学第Ⅰ研究室(熱ゼミ)が発行した

『中村家住宅のひみつ』です。

 

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学術的な内容ですが、小学生でもわかりやすく読めるように構成されています。

中村家住宅を理解するのにとても参考になる文献です。

(K)

佐藤オオキのスピード仕事術

最近お借りして読んだ仕事術の本を紹介します。

デザイナーでデザインオフィスnendoの代表、佐藤オオキさんの

400のプロジェクトを同時に進める 佐藤オオキのスピード仕事術』

(2016年幻冬社発行)です。

 

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この本を読んでいると、J-WAVEで放送中の『佐藤オオキのLAUGH SKECTH

というラジオ番組をよく聞いているせいか、

あのマイクが拾いにくいボソボソとした声で文章が聴こえてくるようです。

 

佐藤さんらしい比喩表現が面白かったのでいくつか引用したいと思います。

 

・一つしかないスイッチを使いすぎると、スイッチがうまく働かなくなってしまいます。

・これは、たとえていえば輪ゴムでつくった三角形のようなもの。

 「お金」「人手」「時間」の3点のうち、どこか一点を伸ばせれば、

 形はいびつでも面積は稼げます。

・たとえ最悪の状態になったとしても、戸山公園がある

・私は、情報収集は「おいしい料理を作るための食材集め」のようなもの

 だと思っています。

・同じ作品をつくるのでも、1ヶ月かけるのと1週間で仕上げるのとでは、

 使う「筋肉」がまったく異なります。

・私が考えるコンセプトとは、

 「電話で誰かに伝えられるくらいシンプルな短い文章でいえるもの」(中略)です。

 

 超人的に見えるマルチタスクも近づいて見れば、

超集中のシングルタスクの積み重ねであるということが分かった1冊でした。

(K)

スーさんの身体論的、経済学

最近読んで面白かったジェーン・スーさんの本を紹介します。

2017年朝日新聞出版発行『今夜もカネで解決だ』です。

 

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スーさんの肩書きは、作詞家、コラムニスト、音楽プロデューサー、「未婚のプロ」

と色々ありますが、ぼくにとってはお気に入りのラジオパーソナリティーです。

あと、こんなお名前ですが生粋の日本人です。

 

内容の面白さを伝える言葉がちょっとまとまらないので、

いくつか見出しを引用して終わりにします。スミマセン。

 

「老けは夕方の後ろ姿に現れる」

「女には痩せて見えなばならぬ日がある」

「セレブはもう、自分で頭なんか洗わないんだぜ」

「イケメンは苦手」

「至福のキャベツ剥がし」

「ブランドバックよりマッサージチェア」…

 

東京という街はスゴイということを再認識させられる内容でした。

(K)

 

みんなの家。

前回、内田樹の『ぼくの住まい論』を紹介しましたが、

必然的にこの本も取り上げなければなりません。

 

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2012年にアルテスパブリッシングから発行された

光嶋裕介(こうしまゆうすけ)著『みんなの家。建築家一年生の初仕事』です。

 

内田先生の道場兼自邸「凱風館」の設計者として、

建物ができるまでの流れをみずみずしい文章で綴っています。

 

光嶋さんの名前を初めて知ったのは、この本の一般的な読者と同じく、

ほぼ日刊イトイ新聞の中で2011年から2012年にかけて連載されていた

同タイトルのコンテンツでした。(本書はそれを書籍化したものです。)

当時リアルタイムで読んでいましたが、

ベネチアでの「フォルコラ」の話やポルトガルでアルヴァロ・シザに会いに行った

エピソードなどが印象に残っています。

 

内田先生は『ぼくの住まい論』の中で

「最初の頃に彼が提案した大胆なるアイディアをいくつか却下しましたけど、…」

と書いていますが、その却下された案も目にすることができます。

 

ボーナストラック的に収録されている巻末の

漫画家・井上雄彦さん、施主の内田先生、著者の光嶋さんの鼎談では

「おじさん」対「青年」の絶妙なコントラストが垣間見えて面白かったです。

 

建築設計を生業にする人だけでなく、

ものづくり全般に興味がある一般の方が読んでも楽しめる内容だと思いました。

(K)

inside outdoor

先日お仕事中にホームセンターへ行きました。

インテリアの仕事をしていると

何かとホームセンターへ行く用事があります。

 

そこで、興味をそそられる本が!!

 

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アウトドア用品で有名なLOGOSのカタログが積まれていました。

店員さんに聞いてみると無料のカタログだそうで

キャンプは得意では無いけどアウトドア用品好きな私は

嬉しくって1冊頂いて帰りました。

 

好きなものは時間が無くても見てしまうもので

夢中になって熟読(笑

たいしてキャンプも行かないけれど

こんなのあったら便利だろうなぁとか

妄想ではしっかりキャンプファイアーを囲んでます。

 

感心したのが防災グッズの豊富さ。

アウトドア用品って防災グッズにもなるのですね。

雨、風に強くて頼りになるし

プライバシーも確保してくれるし

さらに熟読してしまいました。

 

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我が家にも防災用にコレはいいなぁとか

必要性が一気に増すのでした。

 

たまたまですが、最近インテリアのお仕事で購入したキッズ用の椅子。

二人がけでドリンクホルダー付き!

子供しか座れないけれど

大人の私が見ても心踊ってしまいました。

 

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こうして室内でしっかりアウトドアを堪能したのであります。。。

 

 

(S)

 

ぼくの住まい論

数回にわたり内田樹の本を紹介してきましたが、

当初はこの本を取り上げるつもりだったのでした。

2012年新潮社から発行された『ぼくの住まい論』。

(正確にはそれの2015年に文庫化された同タイトルの文庫本です。)

 

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内田先生が2011年に自宅兼合気道道場をつくった顛末をまとめた内容です。

初めての自宅づくりを通して日本産の木材市場の置かれている大変な状況や

職人の数が激減している問題にも触れています。

また、自らの道場を持つということを通して、

内田流の教育論、経済論、コミュニケーション論など大いに語っています。

ちゃんと「内田樹本」になっていて、読み応えのある内容でした。

(K)

建築とサイン

今週クレールアーキラボの事務所の入口に新しくサインが掲げられました。

そう、事務所には設立3年目になる今まで「看板」がない状態だったのです。

 

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事務所の入っている建物は正面から見て入口(というか玄関)が2つあるため、

初めて訪れる方に度々ご不便をかけることがありました。

これからは事務所の前で、どっちから入ればいいのと戸惑う人は

だいぶ少なくなることでしょう。

 

その効果はさておき、サインが入った建物の佇まいを眺めてぼくが思ったことは、

「なんか設計事務所っぽい…」でした。

他のスタッフからはおしゃれなカフェみたいというコメントも出るほど。

まさに画竜点睛(がりょうてんせい)とはこのこと。

 

ふと、これは現代言語学の方法を確立したスイスの言語学者

フェルディナン・ド・ソシュール(1857-1913)が定義した

シニフィアン(signifiant)とシニフィエ(signifié)という概念で

説明可能なのではないかと思ったのです。

もちろんサインが「シニフィアン」で、

事務所としての空間が包含する諸々の事象が「シニフィエ」です。

確固たるシニフィアンが与えられたことでシニフィエがよりくっきり際立つと。

 

……。

今回は無責任ながらその参考文献だけを記して済ませたいと思います。

2002年 文藝春秋発行 内田樹著『寝ながら学べる構造主義』の第二章と、

2003年 光文社発行 町田健(まちだけん)著『コトバの謎解き ソシュール入門』。

 

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前者は構造主義の始祖として、ソシュールに1章を割いているのですが、

ソシュール解説に必ず登場する前述の「シニフィアン/シニフィエ」も

「ラング」、「パロール」や「言語の恣意性」などの専門用語も全く出てきません。

内田先生が伝えているのは、

「ある観念があらかじめ存在し、それに名前がつくのではなく、

 名前がつくことで、ある観念が私たちの思考の中に存在するようになるのです。」

というソシュールが発見した知見のみ。割り切っています。

後者はソシュールが100年前に遂行した現代言語学という新しい学問を

泥臭ーく整備していく道筋をじっくり追うことができます。

(おそらく今はもっとわかりやすい入門書がたくさんあると思います。)

 

 

画竜点睛とかシニフィアンとかごちゃごちゃ言いましたが、

サインが付いて2日目、それはあまりにも建物に馴染み過ぎて

まるでずっと以前からそこにあったかのようです。

 

サインは真鍮製で表面はとくに防錆処理などは施していません。

これがコンクリート打放しの外壁とともにどのように経年変化していくのか

これから楽しみです。

(K)